ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2017.11.6 02:02日々の出来事

我が葛藤!


長年付き合っている編集者によると、わしは最も常識のある

作家だそうだ。

大概の作家というものはクセがあり過ぎて、常識なんか通用

しないのだという。

常識があって、仕事がしやすいのが小林よしのりだそうだ。

わしが見てきた、あるいは知っている作家や知識人を考えて

みても、多分そうなんだろうなと思う。

 

だが他人の立場を重んじてばかりいると、自分の「個」が

貫けない事態に陥ってしまう。

自分が小市民になってしまうし、それは自分の表現者として

の魂を喪失することになる。

 

本来、わしはもっと我が儘でなければならないのだ。

社会性を重んじるあまり、あと十年かそこらしかないだろう

作家生命を、無駄に使ってはならない。

いざとなれば、「個」は貫かねがならない。

 

出版社や雑誌は、人気がなくなれば必ず打ち切りにする。

これは出版界不変の法則で、容赦なく打ち切る。

40年以上描いてきて、温情で描かせてくれた編集者など

いない。

カネになるか、ならないのか、それだけだ。

徹底的な弱肉強食。徹底的な実力主義。ただそれだけだ。

 

そしてわしとしてもそれが望むところで、カネになるか、

ならないかが最重要なのだ。

ところが、それでもこの物語をもっと描いてみたいという

作家としての表現欲がどうしてもある。

カネにならなくても描きたいという欲望と、カネになる

作品でなければ意味がないという野心との葛藤の激しさは、

普通の人には分からないだろう。

 

SAPIO」は嫌いでも『大東亜論』は読みたいという読者

ほどありがたい人たちはいない。

女性なら一人ひとり抱きしめてあげたいが、男なら握手で

我慢してくれ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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